商店街の順番札が二つに割れそうな夜
商店街の屋台で、行列の先頭に係の人が立っていました。次の人に順番札を渡して、手元の台帳にも同じ順で書き足します。この台帳が、みんなで同じ順番を守るための一本の道しるべです。
音楽と人の声で、係の人の呼びかけが聞こえにくくなりました。誰かが「係がいない」と思って、別の台帳を出して札を配り始めます。同じ順番札が別々に動いて、行列の順が二つに割れそうになります。
面白いのが、新しい決め方です。係の人の短い合図がしばらく来ないとき、みんなは一斉に前へ出ません。人それぞれ少し違う間を置いてから名乗り出るので、係が同時に二人になりにくいんです。
新しい係は、札を渡す前に台帳の最後の印を指さします。並んでいる人は自分の控えにも同じ印があるか確かめて、違っていたら合わない所から先を消して写し直します。つまり一か所がぴたりと合えば、その前の順もそろっていると分かります。
遅れて戻ってきた人が古い台帳を振り回しても、すぐ係にはなりません。みんなは声の大きさじゃなく、その台帳が自分の控えと同じくらい新しい所まで書けているかだけを見ます。抜けのある台帳が先頭に立つのを避けられます。
途中で係や手伝いが入れ替わるときも、台帳に段取りを書き込みます。しばらくは古い顔ぶれと新しい顔ぶれの両方がうなずかないと、札は確定になりません。新しい人は横で控えを写して追いつくまで、合図に口を出さずに待ちます。
夜も更けて台帳が分厚くなると、係は要点だけのきれいな控えを作って古い紙を片づけます。遅れた人には最初から読み上げず、その控えを渡して追いつかせます。みんなが落ち着いて並べるのは、力技じゃなく、係の役目と直し方と交代の決まりが一つの順を守るからでした。