同じ合計なのに、忙しさが違う夜のクローク
劇場のクロークで働いています。コート掛けを見て、今かかっている枚数を手帳に書きます。分厚い冬物と薄い雨具が多い夜で、合計は同じでも、手が飛び交う時間と静かな時間があるんです。
生き物の数も、これに似ています。ある場所の動物でも、混ざって増える細胞でも、見えるのは「今の数」だけなことがあります。数が少し増えても、入ってきたのが少しなのか、出入りが激しいのかは分かりません。
昔ながらの見方だと、増えた分だけ見て終わりになりがちです。つまり、入った数から出た数を引いた結果だけ。面白いのが、別のルールで動いていても、平均の増え方が同じに見えることがあるんです。
そこで新しい手は、ガタガタを手がかりにします。短い間隔で何度も見れば、平均の変化は「差」を教えてくれます。で、上下の揺れの大きさは「出入りの多さ」を教えてくれます。差と出入り、両方見ると中身が分かれます。
私は状況をまとめて見ます。冬物がこのくらい、雨具がこのくらいのとき、次のひと息で増えやすいか、どれだけ揺れやすいか。そうやって表を作ると、混み具合が「預けにくさ」なのか「引き取りやすさ」なのかも、少しずつ見えてきます。
つまみの回し方で、同じ合計でも様子が変わります。混むと預けにくい店だと、数はわりと落ち着きます。混むと引き取りが増える店だと、数が行ったり来たりします。珍しい雨具が一枚だけ来た夜は、冬物の動き方で残りやすさが変わりました。
手帳を閉じると、さっきまでの騒がしさが別の顔に見えます。うるさいだけの揺れじゃなくて、見えない出入りを分ける手がかりでした。数の線が同じでも、何を止めて何が進んでいるかは違うんです。