古い劇場の照明係が見つけた、写真を当てる近道
古い劇場の舞台裏で、照明係が別々の操作台に座っています。場面が次々変わるので、見どころを見つけて合図のボタンを押すのに必死です。写真の中身を当てるしくみも同じで、操作台は計算の板、合図メモは物の名前です。小さな判断を積み重ねるほど当たりやすい、が今日の持ち帰りです。
前は分厚い手引きでやっていました。輪郭はこう、色はこう、手触りっぽさはこう、と決め打ちです。動く舞台なら通じても、写真が山ほど集まって種類も増えると、明かりや角度や背景が変わっただけで外しやすくなりました。
そこで手引きを捨てて、合図の係を何段も並べました。最初の係は線や色のかたまりだけを見る。次の係はそれを組み合わせて毛並みや車輪っぽさを拾う。最後の係が「これは犬」「これは自転車」と決めます。途中の係を一人抜くだけで、後ろの係が足場を失って合図が乱れました。
次の壁は速さでした。昔のボタンは押したのか押してないのか曖昧で、手が止まります。劇場は切り替えがはっきりしたスイッチに替えました。信号が弱いなら消える、強いならそのまま通る、という単純さです。そのおかげで、長い合図の列でも練習が一気に進みました。
でも操作台ひとつでは、合図の線を全部つなげません。照明係は操作台を二つに分けて、担当を割りました。ふだんはそれぞれ走り続けて、決めたタイミングだけ短く情報を渡します。おしゃべりを増やさないのがコツで、大きくしても動きが重くなりにくいのです。
練習のしかたも変えました。客席を少しずらして見たり、左右を入れ替えたふりをしたり、明るさや色味をちょっと揺らします。忙しい場所では、たまに一部の合図係を休ませて、仲良し同士だけで当てないようにしました。合図の音量もならして、照明は少し重ねて当てます。つまり、覚え込みを防ぐ工夫です。
二つの操作台で何日も回すと、新しい合図の列は昔の手引き係よりずっと当てるようになりました。似た列をいくつか合わせると、また少し強くなります。特別な裏技じゃなくて、段を重ねる、切り替えを速くする、分担する、覚え込みを防ぐ、の組み合わせでした。今の写真検索が前より頼れるのは、その差を舞台裏で見た気がしました。