お願いの形をそろえたら、窓口がひとつで回り出しました
雨が窓を小さくたたく町の資料室で、係の人がスタンプ台の横に白い依頼票を積んでいます。来る人はバラバラで、要約してほしい人も、名前だけ抜いてほしい人も、別の言葉に直してほしい人もいます。係の人はいつも、票の先頭に短い合図を書いてから本文を貼り、短い返事を書いて返します。
前は窓口がごちゃごちゃでした。はいかいいえ専用、質問専用、要約専用、翻訳専用。用紙も決まりも別で、うまくいっても「窓口が良いのか、運び方が良いのか」が分かりません。窓口を行き来するだけで手間も増えました。
面白いのが、新しい決まりは仕事を全部同じ形に押し込むところです。合図を書いて、文章を入れて、返事も文章で出す。はいかいいえの依頼も、丸を付ける代わりに「はい」と書きます。依頼票の合図つき本文が入力、係の人の返事が出力です。形がそろうと、同じ流れを使い回せて比べやすいです。
練習も工夫しました。傷んだページの写しを用意して、いくつかの言葉のかたまりをはがせる札で隠し、印を付けます。係の人は全部を書き直さず、隠れた部分だけを印の順に書きます。単語を一個ずつより、近いところをまとめて隠すほうが、返事が短くて練習が回りやすいです。
流れが決まると、部屋の動かし方も比べられました。いちばん良かったのは二人がかりで、片方が依頼票と本文を読んで整え、もう片方が返事を書く形です。逆に一人で全部やると、いろんな依頼が混ざった日に崩れがちでした。棚の中身も大事で、同じチラシだらけだと変な癖がつきます。似た紙を減らして、きれいな棚にすると伸びました。
本番への渡し方も試しました。いろんな依頼を混ぜて練習し続けるやり方は、配分を間違えると苦手が残ります。まずは「隠れた部分だけ書く」練習で土台を作って、そのあと新しい依頼票の書き方を短く覚えるほうが安定しました。混ぜ練習で見てない依頼でも、例を少し見れば大きくは落ちません。
最後に、素直な手も効きました。練習を長くしたり、人手を増やしたり、何人かの答えを見比べたりすると、長い要約みたいな返事が良くなります。別々の機械を仕事ごとに作るより、読み書きの強い一つの窓口を育てて、依頼票の合図だけ足していく。棚が一つの言葉ばかりだと、別の言葉の頼みは得意になりにくいのも見えてきました。