巨大マンションで迷わない配達のコツ
夕方、配達員の私は巨大マンション前で荷物を抱えました。ドアが多すぎて、少し油断すると迷子です。廊下を走るたびに行き方を直します。配達の道順が、情報から次の一手を選ぶ道具のたとえです。
すぐ困りました。部屋番号が抜けた札、同じ見た目のドアが続く階、地図アプリは重くて反応が遅い。全部の曲がり角を毎回確かめるやり方は、配る前に全廊下を試すみたいで現実的じゃないです。
面白いのが、私は建物を細かく覚えるのをやめました。代わりに、全体をざっくり代表する曲がり角だけをメモします。道具側でも、全部を並べ替えずに「ここで分けると良さそう」を少ない候補に絞ります。つまり候補の圧縮です。
部屋番号が見えない場所では、私は分かれ道ごとに決めごとを置きました。基本は左、配達が明らかに遅れるなら右に変えます。道具も空欄やほとんど空の情報に、うまい置き場所を覚えます。ある所だけ見ればいいので、空っぽに引きずられません。
次は段取りです。私は階と廊下ごとにメモを一度だけ並べて、あとはその順番を使い回します。道具も情報を見やすい形に並べて置き、次の判断を作るたびに素早くなぞれます。スマホに入りきらない分は車に置いて、必要な分だけ先に取りに行きます。
同じ配達なのに、終わり方が違いました。全部の廊下を疑って立ち止まらないし、札の抜けにも足を取られないし、地図が重くても固まりません。強い当て勘を積み上げる感じはそのままに、現場の工夫で大きくて散らかった情報でも動けるようにした、そんな設計です。