埃まみれの写真と、たった一つのルール
町の資料室で、途方に暮れていました。目の前には、埃をかぶった何千枚もの古い写真の山。でも、名前がわかっているのは手元の薄いアルバムにある10人分だけです。これらを一枚ずつ見比べるなんて、一生かかっても終わりそうにありません。
そこで、あるルールを決めました。まず、明るいライトの下で写真をじっくり見ます。もし「これは田中さんだ!」と95%以上の自信があれば、仮の名前を書いた付箋を貼るんです。少しでも迷ったら、無理に当てず、その写真は横に置いておきます。
ここからが工夫のしどころです。名前を貼ったその「同じ写真」を、今度はわざと曇ったガラス越しに見たり、顔を半分隠したりしてみます。つまり、見えにくい「意地悪な状態」を自分で作り出すんです。
なぜそんなことをするかというと、目を鍛えるためです。「ぼやけていても、これはさっき確認した田中さんだ」と自分に言い聞かせるわけです。条件が良い時の判断を信じて、条件が悪い時でも正解できるように練習するんですね。
以前は、よくわからない写真まで無理に分類しようとして、間違いばかり増えていました。でもこの方法なら、自信のある写真だけを先生役にできます。あやふやなデータを思い切って捨てることで、正確さを保てるようになったんです。
写真の山はみるみる片付きました。最初の手がかりが少なくても、何千枚もの画像を正確に整理できたのです。すべてを教わらなくても、「はっきり見える時」と「見にくい時」の答えを一致させるだけで、正解にはたどり着けるんですね。