温室の通気口で、行き先を先に決める話
夜明け前、世話係が長い温室を歩きます。部屋ごとに、暖房を上げたがる人と、暑くしすぎないよう下げたがる人が言い合い中です。今日は、どんなバラバラな温度からでも、決まったいくつかの心地よい形に落ち着かせたいのです。
困るのが、部屋が通気口でつながっていることです。開け方がまずいと、熱が行ったり来たりして、部屋同士が追いかけっこみたいになります。落ち着かせたいのに、つながりが暴走のきっかけになるんです。
面白いのが新しいやり方です。世話係は、まず「落ち着き先の形」をいくつか先に選びます。各部屋の暖房を上げる側の設定だけを形ごとに変えて、下げる側はどの形でも同じにします。通気口も、その形に来たら押し返さないように組みます。
対応関係はこうです。部屋は点、部屋の二人は中の押す役と引く役です。通気口で伝わるのは、上げる側の影響だけです。選んだ落ち着き先の形が「ラベル」です。つまり、どの落ち着き先に自然に転がり込むかで、仕分けが決まります。
でも、ちょっとしたすきま風で崩れる落ち着き先は困ります。世話係は通気口の強さをいろいろ考えて、揺れが小さくなって消える範囲だけを安全地帯にします。調整するときも、その範囲から出ないように手元のつまみを動かします。
試すときは、温室をわざとぐちゃぐちゃな温度にして、少しずつ時間を進めて様子を見ます。違う落ち着き先に寄ったら、次は正しい方へ流れるよう通気口を少し直します。落ち着いた形から逆向きに動かして、元の配置っぽいものを戻すこともできます。
こうして「行き先」を植えておくと、たくさんの部屋があっても、温室はちゃんとどれかの落ち着き先に着きます。最初に温度の並びを分かりやすく整えておくと、もっと扱いやすくもなります。行き先を決めてから道を作ると、落ち着くかどうかを運任せにしなくてすみます。