紙の手順書が完璧でも、現場ではズレます
海沿いの町役場で、訓練のサイレンが鳴ります。みんな手順書どおりに走るのに、鍵が違うフックにあって無線は電池切れ。読んだだけの手順と、実際に動かした時の手順は別物だと、体が先に知ります。
コードを書く道具も、似たところがあります。多くは「読めるコード」の形や言い回しから覚えてきました。面白いのが、動かした時に何が起きるかや、遅くなるとか重くなるみたいな部分は、文字だけだと見えにくいことです。
じゃあ訓練をたくさん回せばいいかというと、現場は簡単じゃありません。道具が足りず途中で止まる回もありますし、記録は抜けたり同じ紙が混ざったり。細かく書こうとすると、書く手で動きが遅れます。
そこで新しい工夫が出ます。訓練用の記録用紙を、行動の流れに合わせてそろえるんです。何を入れて何をしたか、その直後に何が返ってきたかを、順番に書きます。つまり手順書ではなく、動いた結果を残す紙です。
その紙を同じ種類の訓練で束ねると、班ごとの手順の違いも比べられます。所要時間や、どこまで実際に動けたかも一緒に残せます。天気や場所や道具を変えた回も重ねていくと、「無線が弱い日だけ崩れる手順」みたいな癖が見えてきます。
この積み重ねが増えるほど、コードを書く道具も「見た目がそれっぽい」だけでは通りにくくなります。動かした記録に照らして、提案を確かめられるからです。紙の上では整っていた手順が、現場でもちゃんと進む。そんな安心が少しずつ増えていきます。